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第2話 残念美人

작가: うちよう
last update 게시일: 2026-05-21 17:12:00

 「——————そういえば、自己紹介がまだだったね! 私は姫柊花音《ひめらぎ かのん》。これからよろしくね!」

 カフェ店内のイメージに合わせた落ち着いたBGMを掻き壊すかのように、花音が馬鹿デカい声で自己紹介をする。

 てかさっきから思っていたことだが、そんなに大きな声出さなくても聞こえてるから。

 「……はぁ」

 「君の名前は?」

 「俺? 俺は……」

 「知ってる。久山雅春《ひさやま まさはる》君、だよね?」

 「何で聞いたんだよ。知ってるなら、わざわざ聞くな」

 「あちゃー。こりゃ一本取られたな~」

 花音はペチッと可愛らしく額を叩く。

 こいつ、全然人の話聞かないな……。しかも意味分からんこと言ってるし。

 俺のことを何で知っているかは、まあ一々確認するまでもないだろう。

 「久山君ってあれでしょ? 嘘告白の人だよね?」

 「……お前も、やっぱり人の心とか無いんだな」

 「お前も?」

 「美しい薔薇にはトゲがあるってことだよ。外面は良い顔して、内面は人のことを傷つけることしか脳のないカスってことだよ」

 「うっわ~。辛辣~」

 そんなことを言いながらも、花音はケタケタと笑ってる。

 笑い要素はなかったと思うんだけど?

 「だから、お前のデリカシーの無さにも納得だわ」

 「ふぅ~ん? そんなに美人が憎いんだ。てか、やっぱり私って美人なんだ! 私最高! 私最強‼」

 胸の前で腕を組んで踏ん反り返っている花音の前に、先ほど注文したオレンジジュースが運ばれてくる。

 オレンジジュースはオレンジジュースでも、グラス縁に輪切りオレンジが付いてる高級感あるオレンジジュースだ。

 ちなみに、俺はアイスコーヒーを注文した。

 「でもさ、でもさ~。美人は美人でもその子と私じゃ全く違うと思うんだよね~」

 「なに、美人レベル的な話? 俺からしたら何も変わらないんだけど」

 「いやいや、そういう話じゃなくてね。私、これがノーマルだから」

 「つまり、今のお前が素ってこと?」

 「ダッツライト!」

 指をピストルの形にして俺を指さす。

 てか、発音が酷すぎてびっくりしたわ。

 「……信じられないな。仮に今のお前が素なんだとしたら、かなり残念な子だぞ?」

 「ふふふ、そう。私は残念な子なんだよ!」

 「うわっ、容認してるタイプの残念な子ってマジでいるんだ。普通ならこうなりたいとか本人の願望とかあるのに……」

 「……ちょいちょい私を馬鹿にしてくるのはなんなの?」

 「別に、俺はただ客観的事実を口にしたまでだ」

 「キャ、キャッカンテキジジツ? ああ、なるほどね! そうね……」

 そういうとこなんだよな……。とは口にしなかった。

 本当かどうか分からないけど、花音曰くこれが通常運転らしい。

 どうしようもない花音の生態に呆れながらアイスコーヒーをストローで啜ると、花音も同じようにオレンジジュースをストローで啜った。

 「んで、俺をカフェに連れてきた理由は? 早く帰って寝たいんだけど」

 「お! だったら私の膝枕で寝る?」

 「はっ倒すぞ」

 「いや~ん。久山君ってば、だいた~ん」

 話にならなくて席を立とうとしたら、花音が静止を促してきた。

 「まあまあ落ち着けって。流石に冗談だってば~」

 「落ち着かないといけないのは、お前の方だと思うんだが?」

 「それより、私が久山君をカフェに連れてきた理由だっけ? それはね——————」

 そう言って、花音は俺に手を差し出す。

 「——————私と、友達になろ?」

 その言葉を聞いて、俺の背筋に悪寒が走った。

 いわゆる、危険信号ってやつだ。俺の本能が警笛を鳴らし続けている。

 「……なんで?」

 「え? なんでって?」

 「なんで俺なんかと友達になりたいんだ? 俺じゃなくても別にいいだろ。それとも俺じゃなきゃいけない理由が他にあるのか?」

 自分が最低な事を言っているのは、誰かに指摘されなくても分かっている。

 だが、こうでもしないと自分のことを守ることができないのだ。

 もう二度と、あんな恥さらしは受けたく——————

 「——————あるよ」

 宝石のような透き通る碧眼が俺を見つめている。

 その真剣な眼差しに耐え切れず、俺は思わず目を逸らしてしまう。

 「目、逸らしたね。そういうところが私とよく似てる。だから友達になれると思うんだ」

 「意味分かんねぇ。そういうところって、具体的にどういうところだよ」

 「んー。まあ、簡単に言うと人と目を合わせられないところかな」

 「は? お前、何言って……」

 「ごめん、席外すね」

 そう言い残して、花音は荷物を持って店の外に出て行ってしまった。

 これ、ここの代金は俺が払っておけってこと?

 「……俺とお前が似てるわけないだろ。クソ女」

 一人取り残された俺は、飲み物代を精算して店を後にした。

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